1. 基本情報:分類と保全状況
- 学名:Tanakia lanceolata
- 分類:コイ科 アブラボテ属
- 環境省レッドリスト: 準絶滅危惧 (NT)
2. 形態とサイズ:地域による体格の差異
ヤリタナゴはタナゴ類の中では大型になる種ですが、そのサイズ感は地域や個体群によって多様です。
- 体長・全長の目安: 通常は全長8cm〜10cm程度ですが、大型のオスでは11cmを超えることもあります。
- 地域別の実測例(資料データより):
- 識別ポイント:
- 口ひげ: 日本産タナゴ類で最も長い。
- 鰭の軟条数: 背鰭(分枝軟条)8〜9本、臀鰭(分枝軟条)8〜10本。
- 稚魚: 背鰭に多くの他種に見られる「黒斑」がない。
3. 生息環境:ヤリタナゴが好む「場所」
「流れの速い場所にも生息している」のが本種の大きな特徴であり、他種との棲み分けのポイントです。
- 好む環境: 平野部の小川、農業用水路。
- 砂礫底(砂や小石)の底質を好み、適度な水流がある場所を活発に泳ぎます。
- 抽水植物(ヨシやマコモなど)の根際や、沈水植物が適度にある場所を隠れ家や休息場所として利用します。
- 微細生息域: 完全な止水域よりも、「緩やかな流れがある砂底の浅瀬」を好み、そこで二枚貝(マツカサガイなど)を探し回る姿が見られます。
4. 分布:広域分布と国内外来種
- 自然分布: 東北地方の太平洋側を除く、本州、四国、九州。
- 国内外来種: 関東地方や青森県などは、他地域からの移入個体群が定着した可能性が高いと考えられています。
5. 繁殖と婚姻色
- 時期: 春(4月〜7月)。
- 婚姻色: オスは背鰭と臀鰭の縁が黒く、その内側に鮮やかな赤色帯が出現します。体側の青い縦帯が目立たないのも本種の特徴です。
- 産卵: ドブガイやマツカサガイ等の二枚貝へ産卵。
6. 飼育管理の要点
- 水流: 流れのある環境を好むため、水槽内でもエアレーションやフィルターで適度な水流を作ってください。
- 水質: PH 7.0〜8.0。中性から弱アルカリ性の安定した環境を維持します。
参考文献・引用: 北村淳一・内山りゅう(2020)『日本のタナゴ 生態・保全・文化と図鑑』山と溪谷社
