タナゴ類を正しく同定(種類を見分けること)したり、その生態を理解したりするためには、体の各部の名称と特徴を知ることが第一歩です。今回はヤリタナゴをモデルに、基本となる外部形態について解説します。
1. 全体的な形と鰭(ひれ)の名称
タナゴは側扁(そくへん)といって、左右に押しつぶされたような平たい形をしています。
- 背鰭(Dorsal fin / せびれ) 背中にある鰭です。タナゴ類では、この鰭の筋(鰭条:きじょう)の数が種類を見分ける重要な手がかりになります。
- 尻鰭(Anal fin / しりびれ) お腹側の後ろ寄りにある鰭です。繁殖期のオスはここが鮮やかに色付きます。
- 尾鰭(Caudal fin / おびれ) 最後尾にある鰭です。タナゴ類は「二叉形(にさけい)」といって、末端が二つに分かれています。
- 胸鰭(Pectoral fin / むなびれ) エラの後ろにある一対の鰭です。
- 腹鰭(Pelvic fin / はらびれ) お腹の下にある一対の鰭です。
2. 頭部の特徴
顔まわりには、その種類の暮らしぶりが現れます。
- 口ひげ(Barbel / くちひげ) 口の両脇にあるひげです。ヤリタナゴは比較的長いひげを持ちますが、種類によっては非常に短いものや、全くないもの(ニホンバラバラタナゴ等)もいます。
- 吻(Snout / ふん) 口先の部分を指します。
- 下鰓蓋(Subopercle / かさいがい) エラ蓋の下側を構成する骨の部分です。
3. 繁殖期特有の変化
産卵シーズンになると、オスとメスそれぞれに特徴的な変化が現れます。
- 追星(Pearl organ / おいぼし) 繁殖期のオスの吻付近や目の周囲に現れる、白い粒状の突起です。縄張り争いの際の武器や、メスへのアピールに使われます。
- 婚姻色(Breeding color / こんいんしょく) 繁殖期にオスの体や鰭が鮮やかに色付くことです。ヤリタナゴの場合、鰭の縁が赤く染まり、体側には青緑色の光沢が現れます。
- 産卵管(Ovipositor / さんらんかん) メスのお尻付近から伸びる管です。これを使って二枚貝の中に卵を産み付けます。
4. 同定に欠かせない「側線」
- 側線(Lateral line / そくせん) 体側を走る点線の列で、水の流れや振動を感じ取る器官です。タナゴの種類によって、この線が尾の付け根まで完全に繋がっているもの(完全側線)と、途中で途切れているもの(不完全側線)がいます。
